実家の相続登記後になぜDMや営業電話が?その仕組みと情報源を解説

「実家を相続して登記を済ませたら、急に不動産業者や税理士からダイレクトメール(DM)や営業電話が増えたんだけど、どうしてなんだろう?」
弊社司法書士法人槐事務所にも、このようなお問い合わせをいただくことがあります。
大切なご家族を亡くされ、相続手続きを終えたばかりの時期に、たくさんの営業連絡が来ては困惑してしまいますよね。
まず、ご安心いただきたいのは、弊社が、お客様の情報を外部に漏らすことは決してないということです。司法書士には厳格な守秘義務が課せられており、私たちはこれを遵守しています。依頼者の方の承諾なく、個人情報や相続に関する情報を第三者に提供することは絶対にありません。
それでは、なぜ不動産業者などは、あなたが不動産を相続したことを知ることができるのでしょうか? 今回はその仕組みについて、詳しくご説明いたします。
目次
不動産業者が相続登記を察知する仕組み
不動産業者などが相続の情報を得る主な方法は、「不動産登記受付帳」と「登記簿(登記事項証明書)」です。
不動産登記受付帳の取得
不動産登記受付帳とは、管轄の法務局で管理されている帳簿です。ここには、どの不動産について、いつ、どのような原因(例えば「相続」や「遺贈」など)で登記申請があったかが記録されています。ただし、新しい所有者の氏名までは記載されていません。
この不動産登記受付帳は行政文書に該当し、誰でも法務局に開示請求をすることで入手が可能です。不動産業者などは、この受付帳を定期的に確認することで、相続が発生した不動産をリストアップしていると考えられます。
登記簿(登記事項証明書)の取得
不動産登記受付帳で相続があった不動産を把握した後、さらに詳しい情報を得るために、その不動産の登記簿(登記事項証明書)を取得します。登記簿には、不動産の詳細な情報に加え、新しい所有者の住所と氏名が記載されています。これにより、不動産業者は相続した個人の情報を特定できるのです。
なお、登記簿にも電話番号は記載されていません。
電話番号はどこから?
「登記簿に電話番号が載っていないのに、なぜ電話がかかってくるの?」と疑問に思われるかもしれません。
電話番号の情報源としては、以下のようなケースが考えられます。
過去の電話帳への掲載情報
以前、電話帳にご自身の電話番号を掲載していた場合、その古い電話帳が古本屋などで売買されたり、名簿業者が情報を収集・整理していたりすることがあります。
インターネットでの検索
過去に何らかの形でインターネット上に電話番号を公開したことがある場合、それが検索でヒットすることもあります。また、古い電話帳を掲載しているウェブサイトも存在します。
名簿業者の存在
これらの情報を収集・整理し、リストとして販売している名簿業者も存在すると言われています。
不動産業者の中には、これらの方法で入手した住所・氏名のリストと電話番号の情報を組み合わせ、営業活動を行っているところがあるようです。
不動産登記受付帳の取り扱いについて思うこと
現状の制度では、不動産登記受付帳は誰でも比較的容易に入手できてしまいます。これにより、相続登記を済ませた個人の情報が本人の意図しない形で広がり、営業活動などに利用されてしまう可能性があることは否めません。
もちろん、不動産取引の透明性や権利関係の明確化という観点から、登記情報の公開は重要です。しかし、特に相続というデリケートな時期にある個人の情報が、本人の知らないところで容易に取得され、営業目的で利用される現状については、プライバシー保護の観点から、不動産登記受付帳の取り扱いについて、一定の制限を設けることも検討されるべきではないかと、弊社は考えています。
まとめ

相続登記後にDMや営業電話が増えるのは、主に法務局で公開されている不動産登記受付帳や登記簿の情報が基になっている可能性が高いです。弊社が情報を漏らしているわけではありませんので、その点はご安心ください。
相続手続きは複雑で、専門的な知識が必要です。また、相続登記後のこのような状況についてご不安な点や疑問点がございましたら、どうぞお気軽に私たち専門家にご相談ください。
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