【手続複雑化!】相続手続き中に相続人が亡くなったらどうなる?専門家が解説する「数次相続」のポイント

家系図

 「相続手続きを進めている途中で、相続人の一人が亡くなってしまった…」 このような場合、相続手続きは「数次相続(すうじそうぞく)」となり、より複雑になります。具体的には、亡くなった相続人が受け取るはずだった権利や義務を、さらにその方の相続人が引き継ぎ、元々の遺産分割協議に参加する必要があります。特に注意すべきは、最初の相続に関する相続税の申告期限(10か月)は変わらないという点です。

 この記事では、相続手続き中に相続人が亡くなられた場合にどうなるか、注意点を解説します。ご不安な方は、まずこの記事で概要を掴んでください。

重要ポイント

  1. 「数次相続」が発生します: 最初の相続手続きが完了する前に相続人が亡くなると、その相続人の相続が連続して発生します。
  2. 関係者が増え、手続きが複雑化します: 亡くなった相続人の相続人が、最初の相続手続きに関わることになります。
  3. 相続税の申告期限は延長されません: 最初の相続開始を知った日(通常は相続開始の日)の翌日から10か月以内という期限は、数次相続が発生しても変わりません。
  4. 遺言書の有無で対応が変わることもあります: 遺言で財産を受け取る人が指定されていた場合、その人が亡くなったタイミングで効力が変わることがあります。

 では、これらのポイントについて、以下で詳しく見ていきましょう。

そもそも「数次相続」とは?

 相続手続きが完了する前に、相続人の一人が亡くなってしまった場合、その亡くなった相続人が受け取るはずだった権利や義務を、さらにその方の相続人が引き継ぐことになります。これを「数次相続」と呼びます。

 例えば、

数字相続のイラスト
  1. お父様(Aさん)が亡くなり、相続人は配偶者(Bさん)と長男(Cさん)だったとします。
  2. Aさんの遺産分割協議が終わらないうちに、長男(Cさん)が亡くなってしまいました。
  3. この場合、CさんがAさんから相続するはずだった財産は、Cさんの相続人(例えばCさんの妻Dさんと子Eさん)が引き継ぐことになります。

 つまり、最初のAさんの相続(一次相続)と、次にCさんの相続(二次相続)が連続して発生する形になるのです。

相続財産と遺産分割協議はどうなる?

 数次相続が発生した場合、最初の相続(一次相続)における相続財産は、亡くなった相続人の「財産の一つ」として扱われます。 そして、一次相続の遺産分割協議には、亡くなった相続人の代わりに、その方の相続人全員が参加して話し合いを進めることになります。 先の例で言えば、Aさんの遺産分割協議には、Bさん(Aさんの妻)、Dさん(Cさんの妻)、Eさん(Cさんの子)が参加することになります。これにより、関係者が増え、話し合いが複雑になる可能性があります。

【補足】「代襲相続」との違いは?

代襲相続の説明図

 「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」は、亡くなった方(被相続人)よりも先に相続人となるはずだった子や兄弟姉妹が亡くなっている場合に、その子(被相続人から見て孫や甥姪)が代わりに相続人となる制度です。数次相続は「相続開始後に相続人が死亡した場合」であり、タイミングが異なります。

 例えば、

  1.  長男(Cさん)が亡くなり、相続人は配偶者(Dさん)と長男(Eさん)だったとします。
  2.  お父さん(Aさん)が亡くなり、相続人は配偶者(Bさん)と長男(Cさん)ですが、長男(Cさん)は既に亡くなっています。
  3.  この場合、Aさんの相続財産は、Bさんと、Eさん(孫)が父であるCさんを代襲して引き継ぐことになります。

 ちなみに、Dさんは、Aさんの相続については相続人とはなりませんので、遺産分割協議に参加するのは、Aさんの配偶者(Bさん)と孫(Eさん)です。

遺言書がある場合は?

遺言書のイラスト

 遺言書で財産の受取人が指定されていた場合、その受取人が亡くなったタイミングによって扱いが変わります。

  • 遺言で指定された人(受遺者)が、遺言者より「先に」亡くなっていた場合: 原則として、その部分の遺言の効力は失われます。
  • 遺言で指定された人(受遺者)が、遺言者より「後に」亡くなった場合: 遺言は有効です。その財産は亡くなった受遺者の相続財産の一部となり、その受遺者の相続人が引き継ぎます(数次相続の形)。

最も注意すべき!相続税の申告期限

書類を書く女性

 相続税の申告・納付期限は、原則として「最初の相続(一次相続)が開始したことを知った日(通常は相続開始の日)の翌日から10か月以内」です。

 この期限は、数次相続が発生したからといって延長されるわけではありません。 二次相続についても、二次相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告が必要です。短期間に複数の相続手続きと申告が必要になるため、期限管理が非常に重要です。期限を過ぎると延滞税などが課される可能性があります。

複雑な「数次相続」は専門家へご相談ください

 数次相続が発生すると、相続関係が複雑になり、必要書類の収集や遺産分割協議などが格段に難しくなります。

 ご自身たちだけで手続きを進めるのが困難だと感じたら、お早めに相続の専門家である司法書士にご相談ください。 私たち司法書士法人槐事務所は、数次相続のような複雑な案件にも実績がございます。お客様の状況を丁寧に伺い、最適な手続きをご提案し、円滑な相続完了まで親身にサポートいたします。

 また、相続税の申告が必要な場合や、ご不安がある場合は、相続税に強い税理士をご紹介することも可能です。

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