【司法書士が解説】その遺言書、大丈夫?手続きできない遺言と安心な対策

故人が大切な想いを託した遺言書。しかし、その遺言書でスムーズに相続手続きが進まないケースがあることをご存知でしょうか?
今回は、遺言書にまつわる落とし穴と、そうした事態を避けるためのポイントについて、専門家の視点から分かりやすく解説します。
目次
こんな遺言書は手続きできない?法的に無効になるケースとは
せっかく書いた遺言書も、法律で定められた要件を満たしていなければ、法的に有効なものとして扱われません。つまり、故人の意思が反映されず、相続手続きを進めることができなくなってしまうのです。
例えば、以下のようなケースがあります。
- 遺言書を書いた日付が書かれていない
- 自筆証書遺言の場合、本文が自筆で書かれていない(パソコン作成や代筆は遺産目録等一部を除き原則不可)
- 署名や押印がない、または不備がある
こうした形式的な不備だけでなく、遺言能力がない状態で書かれたと判断された場合も、遺言は無効となる可能性があります。
曖昧な内容は紛争の種に?「困った遺言」が引き起こすトラブル
遺言書が形式的に法的な要件を満たしていても、遺言の内容が曖昧なために、相続人間で解釈が分かれ、紛争の原因となってしまうことも少なくありません。
例えば、「長男に家を相続させる」とだけ書かれていた場合、どの家を指すのか(複数の不動産を所有している場合など)、家の敷地も含まれるのか、といった点で揉める可能性があります。
また、「妻に財産の半分を相続させる」という記載も、どの財産を基準に半分とするのか、預貯金だけなのか不動産も含むのかなど、具体的な内容が不足していると、かえって混乱を招く場合があります。
手続きできない・曖昧な遺言書…どうすればいい?
では、法的に不備があったり、内容が曖昧だったりする遺言書が見つかった場合、どうすれば良いのでしょうか。
一つの方法として、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)、故人の遺言の趣旨を最大限に尊重しながら、法的に確実な内容で合意を目指すことが考えられます。この遺産分割協議で合意した内容を「遺産分割協議書」として書面に残すことで、その後の相続手続きを進めることができます。
しかし、この遺産分割協議は、相続人全員の合意が不可欠です。一人でも納得できない方がいたり、連絡が取れない相続人がいたりすると、協議がまとまらず、手続きが長期化したり、家庭裁判所での調停や審判が必要になったりすることもあります。
安心・確実なのは「遺言公正証書」
このようなリスクを大幅に軽減できるのが、「遺言公正証書」です。
遺言公正証書は、公証役場の公証人が作成に関与する遺言書です。公証人は法律の専門家であり、作成時に遺言の内容や形式が法的に問題ないか、遺言者の意思能力は十分かなどを確認します。そのため、法的な不備で無効になったり、内容が曖昧でトラブルになったりするリスクが非常に低いのが大きなメリットです。
また、原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配もありません。
【注意】エンディングノートと遺言書は別物です
最近、「エンディングノート」を書かれる方が増えていますが、これはご自身の人生の記録や希望、家族へのメッセージなどを自由に書き記すものであり、法的な効力を持つ「遺言書」とは異なります。
財産の分け方など、法的に効力を持たせたい内容は、必ず法律で定められた形式の遺言書として残す必要があります。混同しないように注意しましょう。
最後に:専門家の関与で「安心」を

ここまでご説明したように、遺言書は法的なルールが細かく定められており、内容次第ではかえって紛争の種になりかねません。あなたの大切な想いを確実に実現し、残されたご家族が円満に相続手続きを進めるためには、やはり専門家のサポートがあった方が安心です。
私たち司法書士は、皆様のご事情や想いを丁寧にお伺いし、法的に有効で、かつ、将来の紛争を防ぐための最適な遺言書作成をサポートいたします。また、万が一、問題のある遺言書が見つかった場合の遺産分割協議や、その後の相続手続きについても、円滑に進められるようお手伝いさせていただきます。
遺言書や相続に関して、少しでもご不安なこと、ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽に私たちにご相談ください。
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