お孫さんに財産を確実に渡すには?実現方法と注意点を解説

祖父母と孫のイラスト

「かわいい孫に財産を遺したい」…そんなお悩みはありませんか?

 お孫さんへ確実に、そしてより多く財産を渡したいとお考えなら、法的な知識と準備が不可欠です。様々な方法があり、それぞれメリット・デメリットがあるため、ご自身の状況や想いに合わせて最適な手段を選ぶことが何よりも重要です。

 この記事では、司法書士がお孫さんへ財産を渡すための具体的な方法、それぞれのポイント、そして注意すべき点を分かりやすく解説します。どの方法がご自身にとって最適か、ぜひこの記事を参考にしながら、私たち専門家と一緒に考えていきましょう。

ご注意

まず知っておきたい「孫の相続」の基本:代襲相続とは?

 通常、お孫さんは自動的に相続人になるわけではありません。しかし、例外的に相続人となるケースがあります。それが「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」です。

代襲相続の説明図
  • 代襲相続とは? 亡くなった方(被相続人)の子どもが既に亡くなっている場合に、その子ども、つまりお孫さんが代わりに相続人となる制度です。 例えば、祖父Aさん、長男Cさん、Cさんの子Eさん(Aさんの孫)がいるとします。長男CさんがAさんより先に亡くなっていた場合、Aさんが亡くなった際の相続では、孫Eさんが長男Cさんの代わりに相続人となります。
  • 代襲相続のポイント
    • お孫さんは、あくまで「亡くなった子どもの代わりに」相続します。
    • お子さんが健在な場合は、お孫さんは法定相続人にはなりません。
    • 代襲相続できるのは、被相続人の直系卑属(孫や曾孫(孫も既に亡くなっている場合))か兄弟姉妹の子(甥姪)に限られます。
  • 「うちの孫は代襲相続に当てはまらない」
  • 「代襲相続の対象だけど、もっと確実に、より多くの財産を渡したい」

 このような場合は、生前からの対策が重要になります。

【具体的な解決策】お孫さんへ財産を渡す4つの方法

 お孫さんが代襲相続人とならない場合や、より積極的にお孫さんに財産を遺したい場合に検討できる主な方法は以下の4つです。それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

養子縁組:お孫さんを法定相続人にする

 お孫さんと養子縁組をすることで、法律上の親子関係を作り、お孫さんを法定相続人とすることができます。

  • メリット
    • 法定相続人に: お孫さんが実子と同じ立場で相続権を持ち、遺産分割協議に参加できます。
    • 相続税の基礎控除額・生命保険金の非課税枠の増加: 法定相続人が増えることで、これらの控除額が増え、節税に繋がる可能性があります。(※法定相続人の数に含められる養子の数は2人までです。)
    • 相続税の2割加算の回避: 通常、孫への遺贈や贈与は相続税が2割加算されますが、養子として法定相続人となれば原則対象外です。(代襲相続人である孫も2割加算はありません。)
  • デメリット
    • 手続きが必要: お孫さんが相続開始時に未成年の場合は、特別代理人選任申立手続きや、家庭裁判所の許可が必要となる場合があります。
    • 他の相続人との関係: 他の相続人(実子など)の相続分が変わるため、ご家族内での揉め事に繋がるおそれがあり、事前に十分な話し合いが必要です。
    • 養子の数の制限: 相続税法上、法定相続人の数に含めることができる養子の数は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までです。

遺言:ご自身の意思で財産を遺す

遺言書のイラスト

 遺言書を作成し、お孫さんに財産を「遺贈(いぞう)」する方法です。

  • メリット
    • 意思の明確化: 誰に、どの財産を、どれだけ渡すかをご自身の意思で明確に指定できます。
    • 柔軟な指定: 特定の財産を指定して遺せます(例:「この不動産を孫Aに」)。
    • 身分関係の変動なし: 養子縁組のような身分関係の変動はありません。
  • デメリット
    • 遺留分への配慮: 他の法定相続人には最低限保障された「遺留分」があります。これを侵害するとトラブルの原因になることがあります。
    • 相続税の2割加算: お孫さん(養子、代襲相続人である場合を除く)への遺贈は、相続税額が2割加算されます。
    • 形式不備のリスク・手続き:
      • 自筆証書遺言: 手軽ですが死後に家庭裁判所での「検認」が必要です。また、形式不備などで遺言の効力が生じないリスクがあります。法務局に遺言書を保管してもうことができ、この場合は家庭裁判所での検認は不要です。
      • 公正証書遺言: 形式不備のリスクが低く検認も不要ですが、費用と手間がかかります。
    • 遺言執行者: スムーズな実現のために遺言執行者を選任することが望ましいです。

生前贈与:生きている間に財産を渡す

財産を円満に渡す親子のイラスト

 ご自身が生きている間に、お孫さんに財産を贈与する方法です。

  • メリット
    • 確実に渡せる: 生前に財産が移転するため、お孫さんが確実に財産を受け取れます。
    • 時期を選べる: ご自身のタイミングで財産を渡せます。
    • 非課税枠の活用:
      • 暦年贈与: 年間110万円までなら贈与税はかかりません。
      • 相続時精算課税制度: 2,500万円までの贈与について贈与時の税負担を抑え、相続時に相続税として精算する制度です(原則60歳以上の祖父母から18歳以上の子・孫へ。一度選択すると暦年贈与に戻れません)。生前贈与した財産は相続財産として組み入れて相続税を計算します。また、死亡時にお孫さんが代襲相続人でない場合は、相続税の2割加算の対象となります。
      • 教育資金の一括贈与: 30歳未満のお子さんやお孫さん1人につき、1,500万円(習い事は500万円)まで非課税となる制度があります(2026年3月31日まで。金融機関との契約等要件あり)。23歳以降は習い事は課税対象となります。なお、30歳時点で残額が荒れば贈与税の課税対象となります。
      • 結婚・子育て資金の一括贈与: お子さんやお孫さん1人につき、結婚費用に関しては300万円まで、子育て資金に関しては、1,000万円まで非課税となる制度があります(2027年3月31日まで。金融機関との契約等要件あり)。お子さんやお孫さんが50歳になったときに、使い残しがあれば、贈与税が課税されます。
  • デメリット
    • 贈与税: 年間110万円を超える贈与には高額な贈与税がかかる可能性があります。
    • 相続開始前3年~7年以内の贈与の持ち戻し: 死亡時にお孫さんが法定代理人(代襲相続人や養子)になっている場合、亡くなる前一定期間内の暦年贈与は、相続財産に持ち戻され相続税の対象となります(2024年以降の贈与から2031年までに段階的に7年まで延長)。
    • 不動産の贈与: 不動産取得税や不動産登記の際の登録免許税・司法書士報酬が発生するなど、相続で取得するより高くなる場合があります。
    • ご自身の生活資金: 生前に財産を渡しすぎると、ご自身の生活資金が不足する可能性も考慮が必要です。

民事信託・家族信託:柔軟な財産管理と承継を実現

契約書のイラスト

 ご自身の財産を信頼できる家族(受託者)に託し、その家族がお孫さん(受益者)のために財産の管理・運用などを行う仕組みです。

  • メリット
    • 柔軟な財産管理・承継: 遺言では難しい「二次相続以降の承継先指定」(例:まず配偶者に、配偶者死亡後は孫に)などが可能です。
    • 認知症対策: 判断能力が低下した後も、受託者が契約に従い財産管理を継続できます。
    • 倒産隔離機能: 信託した財産は委託者や受託者の固有財産とは分別管理されます。
    • 遺言の代替機能: 信託契約で財産の承継を指定できます。
  • デメリット
    • 手続きの複雑さ・費用: 専門的な知識が必要で、専門家への報酬が発生します。
    • 受託者の負担: 受託者には財産管理の責任と手間が生じます。信頼できる適切な受託者が必要です。
    • 税務の複雑さ: 各段階で税金が関わり、税理士との連携も重要になることがあります。
    • 比較的新しい制度: 判例や実績が他の制度に比べて少ない面があります。

【最重要】どの方法が最適?まずは専門家にご相談ください

 ここまでお孫さんへ財産を渡す代表的な方法をご紹介しましたが、「これが一番良い」という万能な方法はありません。

  • ご家族の状況(他に相続人はいるか、関係性は良好か)
  • 財産の種類や額(不動産か預貯金か、いくらあるのか)
  • お孫さんの年齢や状況
  • そして何よりも「お孫さんにどのように財産をのこしたいか」というお気持ち

 これらを総合的に考慮して、最適な方法を選択する必要があります。また、各方法には税金の問題が複雑に絡んできますので、安易な自己判断は禁物です。

  • 「どの方法が良いか分からない」
  • 「手続きが難しそう」
  • 「税金のことが心配」

 このようなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度、私たち司法書士法人槐事務所にご相談ください。

 司法書士は、これら法制度の専門家として、皆様のご希望を丁寧に伺い、法的な観点から最適なプランをご提案し、その実行をサポートいたします。 必要に応じて、税理士などの他士業専門家とも連携して対応いたします。

 司法書士法人槐事務所では、相続に関する初回のご相談は無料で承っております。 お孫さんへの大切な想いを、法的に確実な形で実現するために、まずはお気軽にお問い合わせください。

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